料理長とこの先何年、十何年と一緒に働くなんて選択肢も、一つに見た夢ではあった。料理長にしたって、最後まで僕を傍に置こうと思ってくれていたらしかった。 が、僕にはどうしても音楽の夢があった。それ …
まぁ、結果から言うと、料理長は然程怒ってなかった。かといって、別に呆れていたワケでもなかったらしい。 「この馬鹿、またやってくれたな。」 くらいに思ってたのかもしれない。 が、以後 …
料理長は、何故か、僕の事をいつもフルネームで呼んだ。そして、常識知らずで未熟者の僕をそのまま受け入れてくれた。 「オメェ〜ホント面白ぇーヤツだよな。」 「一生の内に出逢いたいと思ってもなか …
まず、 「この人達、一体何語を喋ってるんだ?」 ってのが第一印象。 アニョ?ラグー?ビヤンド? ・・・はぁ?・・・えっ、なんて? 言ってる事がさっぱり分からない。 何か唸ってるのは分かるんだけど、全然 …
「おい、おまえ名前何てんだ。」 「料理に興味あるか?」 熱のこもった厨房脇で、大きく重たい皿をただひたすら洗う僕に、そう声を掛けてくれたのは、とあるフランス料理の料理長だった。 そのフランス料理店は、 …